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斑過去序章。
前ブログから移行。
閲覧注意。
  

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(扉の軋む音に、部屋の中に立っていた人物が振り返った。
道化師のような化粧を施した、燕尾服の男。
自らを語り部と名乗る男は、大仰な礼を見せ、椅子の背を引いた。)

やあ、来たね。待っていたよ。
こちらへどうぞ?今日は寒いかい?
一日外に出ていないから、よく分からないんだ。
窓があるって?ここは開かないんだよ。
硝子のこちら側で空だけ見上げていても、気温までは想像できないだろう?
音も聞こえない、暖かさも冷たさも分からない。淋しいものだね。

…さて、今日は可笑しい話を用意してあるんだ。
喜劇かな、悲劇かな。私には想像できないけれど。
そこは君の感じるままにおまかせしよう。

それじゃあ…。…話を始める前に少し想像してみて欲しい。

君は、柔らかな羽毛のベッドで爽やかな朝を迎えるんだ。
涼やかで、どこか軽薄な電子音がスピーカーから洩れてくる。
それは柔らかな起床の音楽。
もう何年も、何年も。毎日変わることなく流され続けたその音楽で、
まるで仕掛けられたロボットのように君や、他人々は目を覚まし、各々の一日を始める。
きりきり動き、食事を取って、ゲームに興じ、夜を迎える。
体温調節は係の人間がやってくれるし、身体測定は毎朝行われる。
具合が悪いといえばすぐに医者が飛んできて、君の体調を気遣ってくれる。
どうだい?理想の生活じゃあないか。
私には到底そうは思えないけれど。…ああ失礼。それじゃあ本題に入ろうか。

如月総合療養所をご存知かな?
君も一度は耳にしたことがある名前じゃあないかな。
都心からの地理もいい閑静な住宅街のはずれに創られた医療施設。
今一番評判のいいサナトリウムとして、何度か雑誌に載ったこともある。
優秀な医師、看護師達。まるでホテルボーイのように洗練された介護ヘルパー。
部屋はいつも清潔に整頓され、建物内は医療施設だとは思えない美しい造型!
入院患者はまるでヴェニスの一流ホテルに滞在しているような錯覚を抱き、穏やかな余生を過ごすんだ。

だけどね、療養所には大きな秘密もある。
建物の中、最上階の南側に位置する、小さな角部屋。そこに居た少女のことを知ってる?
知らないことを願うよ、知っていては私の存在意義がなくなってしまう。
ああ、もしかしたら彼女の今、なら知っているかもしれないね。
君の知る彼女の今、が暖かなものであることを願うよ。

話を戻そう。彼女の名前は、如月斑というんだ。
療養所の所長如月雅俊の娘であり、療養所で一番酷い病を患う患者。

今日は彼女のことを少し、お話しよう。
楽にしてくれてかまわない、長い話になるだろうから。
紅茶はいかがかな?砂糖とミルクはテーブルの上。

さあ、それじゃあ始めようか。
これは、降り注いだ銀色の雨に運命を翻弄され、
愛する家族を失い、愛した男を亡くし、それでもまだ生き続ける、

哀れな少女の物語。


(続)
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